「アングル『泉』のあるヌード。」

2024.1.16 (5:06)

小学校2、3年生になると
昆虫図鑑、恐竜図鑑、天体図鑑に飽きて
一人では箱から出せない重さの「西洋美術大全・全20巻」を眺めるようになった。

書庫にはやたらとそんな百科事典があったが
昭和3、40年代は百科事典を買うのがブームだったんだろうか。

僕がまず目にとめたのはドミニク・アングルの「泉」(1856)だった。
アングルはフランス新古典主義の最重要人物、「泉」はその最高傑作だ。

アングルの人物画にはいつも生気がない。
陶器で出来た人形のように冷たい。

もうしばらく経つと
僕は空き地の廃バスの中で
当時ビニ本と呼ばれた無修正のヌード写真集を拾うことになる。

そんな感じで僕の春はスタートしている。