「1994。」
演出を加えずに、
1994年当時の大学生活を思い出すと、
何もキラキラしていない。
若いから何をやっても楽しいだろう、
なんて大人は言うけれど、
僕は一つも楽しくなかった。
電話も携帯もネットもパソコンも何もなかった。
ピアノしかなかった。
でも、だからずっと人を見ていた。
何もせず、人を見ていた。
演出を加えずに、
1994年当時の大学生活を思い出すと、
何もキラキラしていない。
若いから何をやっても楽しいだろう、
なんて大人は言うけれど、
僕は一つも楽しくなかった。
電話も携帯もネットもパソコンも何もなかった。
ピアノしかなかった。
でも、だからずっと人を見ていた。
何もせず、人を見ていた。
ひどい風ですね。
–
風 吹いてゐる
木 立ってゐる
ああ こんなよる 立ってゐるのね 木
おそろしさとは
ゐることかしら
ゐないことかしら
–
という詩を思い出します。
詩集を取り出して、絵を描いています。
時々「わかる」と言われます。
僕はありがとうございます、と言います。
満足した顔で、
彼彼女は別の「わかる」を別の人に言うため、
僕の元を去ります。
さみだれちゃんと過ごした日々は、
そんな彼彼女らに対する
僕からの否定です。
京都・河原町のチェーン喫茶店「青山」は
どうやら2014年くらいまではあったようだ。
朝までやっていたので、
木屋町で酒を飲んだあと、
始発が出る頃まで
色んな人の身の上話を聞いた。
二人とも酔ったふりをして
何かを話した。
僕はいつも、こわかった。