「ぱぴぷぺ!ぴくちゃん。」

「うなじ。」

先輩は僕にタバコを教えておいて自分はすぐやめたし、
それを引きずって20年やめられなかった僕も、
入院を機に吸わなくなった。

でもタバコを吸っていなかったら
出会わなかった風景があったことは確かで、
僕は今もそれを大切に胸の内で抱えている。

「うわさ。」

「女子っぽい感じが苦手」
↓
「男子が好き」

何の悪意もなく、ナチュラルにおかしなことになっていく。
たかが部活レベルでさえそうだったんだ、
ネットなんて全部おかしいに決まっている。

「夏の雲。」

もう長い間こんな雲を見ていない。

「スイッチ。」

きれいな言葉を使おうが汚い言葉を使おうが、
「自分で気づく前にただちに人に言えてしまう」ことが
今の蔓延する寂しさの正体だと僕は思っている。

「真夏。」

伝わるかどうかわかりませんが、
横で別の子…例えばオータニとしゃべりながら
自分をあおいでいて、

ついでにバサバサっと僕をあおいでくれるあの感じ。
が真夏。

冷房はまだなかった。

「微睡むことも出来ずに。」

不安で眠れないのもつらいものですが、
痛みで眠れないのはやはりそれよりずっとつらいです。

「美術部へようこそ★」

「僕と君。」

「オガワくんの思い出。」

オガワでさんざん慣れていたから、
同じ病気のぴくちゃんは平気だった。

「好きになるよりずっと勇気がいる。」

「距離感覚。」

ずっと関わっていく気のない人間に
自分から関わろうとは思わない。

そういう僕の距離感覚。

「語り得ぬものたち。」

「蝉。」

「ポツリと。」

「さう　あれはうそだ
　血によって　傷によって　毒によって
　愛をはかった
　あのつきつめた愚かさは　うそだ」

「あの時の重い虚無。」