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2025.6.2

シリーズ:しあわせの時間。223P
僕のしあわせは僕自身が「しあわせだ」と感じなかった時間にこそ存在する。
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「高校生たち。」
そんなことばかりしてるから
嫌がられるわけなんですが。
僕もマキタも高校生らしく、なんだかいつもふてくされた顔をしてたのだけど、
ふてくされた顔も笑顔も自分の気持ちを外に出さないようにする仮面という意味では同じ。
僕たちは何でおもろくもないのに笑わなあかんのじゃとふてくされながら、笑えない自分に劣等感をもっていた。
何でも話せる間柄を作れるようになるのは大学に進んでから。
高校生の間は何も話せなかったような気がする。
大した話じゃないのに、深刻ぶっていた。
その深刻さを大人は軽く笑うけど、
あれはとても大事な通過儀礼だと思う。
「大学生たち。」
いい雰囲気だと相手がよく見えるということはほとんどなかった。
どんな場所でどんな話をするにしろ、あるいは黙っているにしろ、
結局は相手が好きかどうかだけが問題で、その他は些末な話だ。
会うたびに苦痛になる素敵ないい人もいるし、
会うたびに好きになる無愛想で退屈な人もいる。