「再会⑦。」
僕は全く誰からも好意的に受け入れられるということもなく、
いつも勝手に孤独を気取って自ら仲間はずれを買って出ており、
そんな僕を周囲は内心バカにしつつも、
腫れ物のように扱い、面倒なことにならぬよう注意されていた。
いつも蚊帳の外にいるからこそわかることもある。
オータニが一人で俺に会いに来るわけがない、
そんな卑屈なことを僕は考えていた。
本編「春 Primavera」に登場する演劇部部長。
「僕」とは高校2年の時に同じクラスになる。普段は美少女風でクラスの人気者だったが、中身はゴリラ。時々とんでもない毒と暴言を吐く。が、基本的にはさばさばした、嘘をつけない女の子。
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僕は全く誰からも好意的に受け入れられるということもなく、
いつも勝手に孤独を気取って自ら仲間はずれを買って出ており、
そんな僕を周囲は内心バカにしつつも、
腫れ物のように扱い、面倒なことにならぬよう注意されていた。
いつも蚊帳の外にいるからこそわかることもある。
オータニが一人で俺に会いに来るわけがない、
そんな卑屈なことを僕は考えていた。
結局僕は、浪人の時にマキタの所属する劇団の芝居を見に行って以来20数年間、
一度もマキタに会ったことはないし、電話も、手紙のやりとりもしたことはない。
あれくらい仲良かったなら連絡くらいとればいいのに、
と同級生には呆れられたものの、僕は強情で自分からは絶対にコンタクトは取らないと決めてしまっていた。
マキタはいつも冷静なようでいて僕と同じく妙なところが強情で、
僕はマキタのそんなところが好きだったのだ。
人を好きになると、今まで気づかなかった色んなところに気づくようになり、
世界が変わったり、広がったりする。
僕もずっとマキタを見て、マキタのことを考えて、
そうすると何だか色々語りたくなってしまうんだ。
オータニがあの時急に元気になったのは何故だったのか。
酔ったから、というだけなのか。
僕は、マキタを好きな人間が自分以外にも欲しかったんだと思う。
それくらいオータニは寂しかったんだと思う。
全然わからなかったが、マリッジブルーだったのかもしれない。
僕はマキタの話が出るとマキタマキタになる。
今でさえ。