2016年10月37P
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「マキタとオータニとそこにある希望。」
疲れた時に休むことが出来ない人間にとって、
ぶん殴ってでも言うことを聞かせる近しい人間の存在は
何者にも代えがたい。
2ページ漫画「旅立つ前に。」
僕はよく自分の思春期を「放浪癖」と表現するけれど、
あれは嘘だ。
本当は、ただ目立ちたくて、気にして欲しくって、
奇妙に見える行動言動を繰り返したにすぎない。
僕はマキタの一言で目が覚めた。
……なんてことはなく、何年も何年も、
引き続き不平不満とくだらないプライドを周囲に撒き散らしながら、
薄々気づいている自分の本当のダメさに目をつむって、
「ああ俺はだめだなあ」などと痴呆のように繰り返す。
「マキタがこちらをじっと見る。」
誰と一緒にいても居場所がないように感じるのは誰も信じてないからだ、とマキタは言う。
ノスタルジック・ジャスティス3「記憶。」
ここで言う「虫」がアリやゴミムシのことなのか、
あるいはメタファーとしての「虫(のようなナニカ)」なのか、
それはもう僕にも思い出せない。
「距離が近いほどより鮮明に、抽象は具象に。 」
相手の優しさに縋って自分を甘やかすのは、ただ一度きりにしなければならない。
けじめのない破綻した人間関係をだらだらと続けるのはお互い不幸にしかならない。
2ページ漫画「美術部。」
男子部員一人に女子部員20数名という部活動は、アニメなら否応なしにハーレムに突入するわけだが、
僕は蛇蝎のごとく嫌われており、石ころくらいの価値しかない部長だった。
部内の内情は他の部にはあずかり知らぬところであり、他の部の男から羨ましいと言われたこともある。
が、
僕に身についた考えは、「好きでなければ好きでない」という当たり前のことだけだった。
2ページ漫画「やるならやらねば。」
「楔は打たれた…」という恥ずかしいセリフは
実際に高校生の僕の口癖で、
相手にサブリミナル効果的な自分の発言を
植え付けよう、とした結果だったが、
要するにね、ふられたくなくって回りくどかったというだけのことです。
「遁走マキァヴェリズム。」
どうやって仲良くなったらよいのかわからない僕は、
印象に残る言葉を全て洗い出し、それによって無作為な会話を構成するという実験を試み、
頭のおかしい人という印象を与えることに成功した。
成功ではなかったことに、後から気がついた。
「体育祭。」
僕は足が遅かった。足が哀しいほど短く、よくペンギンみたいだとからかわれた。
マキタは足が速かった。文化部の癖に小動物のようにすばしっこかった。
マキタは僕の、ヒロインじゃなく、ヒーローだったんだ。
「本当はね、本当は。」
マキタとオータニが二人の時に何を話していたのか、もちろん僕には知るよしもないが、
日頃の二人をよく見ていればいるほど、色んなことを想像したりしたんだ。
「セキグチいじり。」
段々セキグチが本当にいたのか僕の妄想なのか心配になってきたので、
先日実家の母に電話した際、聞いた。
小中高と同じ学校だった筈、と思っていたが、幼稚園も一緒のようだ。
「ナッちゃんだけとちごうて、あんた誰でも気の強い子やとすぐ尻に敷かれとったに。
よう泣かされとったんで、ばあちゃんも死ぬまで心配しよった。あんた嫁ちゃんにも頭上がらんやろうんぬん」
と言っていた。
しょんぼりした。