村木:SIDE B「5:不協和音。」
元々もっている才能と、感情豊かで社交的な村木に、僕はいつも引け目を感じていて、その卑屈から、「僕は彼女を支えるのだ」と逃避した。
そこからは何一つ生まれなかった。
ピアノ教室で出会った高校生。音大を目指しており、社交的でちょっと情緒不安定。
→本編
ページ内の表示数
元々もっている才能と、感情豊かで社交的な村木に、僕はいつも引け目を感じていて、その卑屈から、「僕は彼女を支えるのだ」と逃避した。
そこからは何一つ生まれなかった。
長い時間をかけてマキタと結局上手くいかなかった僕は、大学に入ると同時に叶えられてしまったしあわせに戸惑って、どうすればよいのかわからなかったのだと思う。
これがしあわせの形だ、と思ってしまうと、そこから先のことを何も考えなくなった。
僕は土偶先生を尊敬していたが、アドバイスを聞くことはなかった。
そうして失敗して失敗して失敗して、ようやく聞く耳をもつことができるのだと思う。