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1:2020.8.17 (16:31)

「後ろを歩く。」

話題の中心でいたい、
もっと自分の話を聞いて欲しい。
でもいざ二人で話せばイライラさせることしか言えない。
もっと笑え、笑ってさわやかに三人でしゃべれ。

そんなことを心の中で思いながら、
僕は黙って後ろをついてゆく。

二人はどんどん前を歩く。
僕は影から抜け出せない。

2:2020.8.20 (22:45)

「真夏の嘘。」

僕は大体いつも最悪の事態ばかり考えているので
裏工作とか前準備とか、やらんでもいいことばかり張り切って
いざとなるとくたびれて役に立たないということがよくありました。

宿題や勉強も、好きでもないのに
とりあえず「急に誰かに訊かれるかもしれん」と
あらかじめやらなくてもいい範囲までやってしまう。

要するにただの見栄っ張り、
虚栄心が強いということです。

だから予想通りのことが、予定通り起きたのに
そのこと自体に慌てふためいて、嘘をつきます。

意味のない嘘をつきます。

3:2020.8.21 (13:18)

「誰にも入れない。」

僕にも保育園から高校まで一緒で、
家族ぐるみのつきあいだった幼な馴染がいたが、
30代で突然死んだ。

彼とは一度も喧嘩したことがない。
喧嘩するほど仲よくなかったのだ。
幼な馴染って意外とそんなものだと思う。
七回忌が済んだ今も、哀しいのかどうか、自分自身よくわからない。

オータニもマキタも、人前で感情を出す人物ではなかった。
ただ、マキタを待ち伏せようとしても、
いつも二人でいるので「邪魔だな」と思ったことはある。

邪魔だなあと内心文句を言いながら、
その時も僕は、
いいな
と思った。

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