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1:2021.2.17 (20:13)

「ムロイとセキグチ。」

自称「傷つきやすい人」は
たいていの場合、
自分が誰を傷つけているのかについては意外と鈍い。

ほんの目の前の、誰でも見えてるようなことにばかり
気を取られ、遣わなくてもいい気を使い、
勝手に疲弊している。

それを人に理解しろというのは無理がある。

自己紹介に自分の弱さを強調する人間など
多分僕を必要とすることもないし、僕が必要とすることもない。

2:2021.2.16 (23:47)

「先輩と喫茶鞠小路。」

京大の近くにあった喫茶鞠小路ももうない。
おしゃれなような、そうでもないような、
居心地のよいカフェだった。

先輩と行った時のマッチがまだ思い出箱に入っている。
昔は大体の喫茶店に、その店のロゴが入ったマッチが置いてあった。

もちろん100円ライターはあったけど、
僕はマッチで先輩のタバコに火をつけるのが好きだった。

3:2021.2.15 (23:06)

「マキタとオータニ。」

自分の弱さとか自分のいたらなさとか、
自分のことばかり考えていた僕は、

マキタがどんな人間だったのかも
ほとんどわかっていなかったと思います。

そりゃあ信用されないですよ。
どんなに真面目だろうと。

僕が真面目なのとマキタが人間をどう見ているかは
何の関係もないことですから。

7:2021.2.13 (2:03)

「いやなやつ。」

人前だとどもるとか赤面するとか汗が出るとか、
そういう表面的なことがコミュニケーション障害ではない。

自分のことを自分の言葉で語れず、
人の話ばかりしているやつは、
どんなに愛想がよくて善人ヅラをしていようと

人間関係は作れない。

11:2021.2.10 (0:14)

「先輩と誰か。」

それは彼氏のこと?
と言えば嫉妬する男になる。

それは僕のこと?
と言えば自意識過剰な男になる。

先輩はずるい。

結局それが誰のことか、
僕にはわからない。

わからせないように、
でもわかれと
先輩はいつも言外に言う。

12:2021.2.9 (1:00)

「セキグチとカトー。」

「つきあう」とか「別れる」とか
何もわかっていないころ、

なんだか不穏な冷たい空気が流れる、
元恋人たちのやりとりを、
僕はなんだか大人っぽいなあと
ドキドキしながら眺めていた。

写真部加藤は女子に人気があったが、
結構色んなことをやっていて、
「結構色んなことをやっている」人間の持つ、
怪しげな空気を既にまとっていた。

13:2021.2.8 (0:19)

「嫌いでいるのはイヤだから。」

「きらわれもの」と「いじめ」は全然違う話だ。

ちゃんと自分の話を出来ないやつが
敏感な防衛本能で開き直る様子は
やっぱり不愉快だ。

だから嫌いでいたくないんだ。
だから「お前が嫌いだ」とはっきり言うのだ。

15:2021.2.6 (4:01)

「蹉跌。」

蹉跌……つまづくこと、うまくいかないこと。

うまくいかなかった。だから。

僕はわざとらしく傷ついてみせ、
傷ついた自分を更にわざとらしく人前にさらすことで
もしかしたら同情してもらえるかも、
などと思った。

人を好きになる、
その好きになり方を間違ってしまった。

十字架。
なんて美しいものではない。

ただのガキだ。
ガキは、みにくい。

16:2021.2.5 (23:33)

「いきなり君が君だったわけじゃない。」

当時の日記を開けば、
先輩に嫌われるようなことをして
嫌われた自分のことばかりが並んでいる。

ついに僕は
先輩の過去を知るほどの距離には近づけなかった。

でも僕は知っていたさ。
いきなり君が君だったわけじゃないことを。

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