2024.4.1
「杉ちゃんを描きながら。」
杉ちゃんも文学部だった気がするけど忘れた。
杉ちゃんにも僕にも同じような痛々しい
リリックな部分があって、
他の人が聞いたら会話になっていないような、
ポエムのごときふわふわした会話をしながら
杉ちゃんを描く僕と
描かれる杉ちゃんとで
果てしなく「核心に触れない話題」を繰り返していたと思う。
杉ちゃんは時々ふと目が覚めたように
僕を詰り、つまりその言葉で自分自身も詰った。
「自分に自信がないんですとか口で言っちゃう女はゴミだ」
みたいなことをよく言っていたが、
それは自分のことじゃないのか、と言うと
「私は先輩だぞ!」とよくわからない怒り方をした。
歳は同じだった。
学年は杉ちゃんが一つ上だった。
僕が描いてあげた絵は
きっと全部火にくべただろう。