2024.4.1
「僕は就職というものをしたことがない。」
就職などせず僕は最初からフリーランスで仕事を始めた。
と書けば格好いいが、違う。
就職できる能力がなかっただけの話なのだ。
そういう意味で、僕には「就職できなかった」という劣等感がいつまでもつきまとう。
先輩が卒業してからも、
僕は時々会いにゆき、
愚痴や大人の事情を聞くかたわらで、
夢のようなポエムのようなことを話し続けた。
そんなできの悪い弟のような僕を、
先輩はどんな気持ちで見ていただろうか。
僕が29歳で結婚するまで
先輩とのやりとりはほそぼそと続いた。
僕はやっとそこで大人になり、週に何日かとは言え、
先生という安定した職を得て、
ろうそくの灯が消えるように
先輩との関係は途絶えた。