2024.4.1
シリーズにんげんのうた①「マキタ。」
僕はいつも反抗的だったが、それは反抗のための反抗、
反抗的なポーズに酔いしれているだけの、暗く俯いた子供で。
だから結局、大きなシステムを自分から見限ることなく、
安心が約束された場所から、辺りの顔色を伺いながらあれもこれもダメだ、と
駄々をこねていたに過ぎない。
僕にとってマキタは、そうした稚拙なアイデンティティでさえ確立できずにいる、
僕自身のアンチテーゼのような存在でもあった。