
2017年10月81P
トオイヒビ7「さみだれちゃん、猫、風。」
さみだれちゃんの一番好きだったところは、
かわいいと思うものに「かわいい」と反応しないところで、
いつも態度は何でもなかった。
だからこそごくごくまれに僕に見せた、
ほんのわずかな感情の揺れが、
大きな価値をもって僕を揺さぶった。
トオイヒビ6「本番前日、リハーサル、仲違い。」
本番の、舞台でスポットライトの当たった別人のようなマキタも
よく覚えているが、
普段冷静であまり反抗的でないマキタが、
ずいぶんモジャモジャとオータニに向かって文句を言っている、
僕はそれが珍しくて、
何かの箱を運びながら横目でちらちらと見ていた。