村木:SIDE B「7.正直はいつも残忍で。」
僕は土偶先生を尊敬していたが、アドバイスを聞くことはなかった。
そうして失敗して失敗して失敗して、ようやく聞く耳をもつことができるのだと思う。
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僕は土偶先生を尊敬していたが、アドバイスを聞くことはなかった。
そうして失敗して失敗して失敗して、ようやく聞く耳をもつことができるのだと思う。
思い出。
美術部と天文部は隣同士だった。
隣同士色々あるのは人でも国でも部活でも、一緒だ。
そして僕は目ざとく気づくようでいて全く気づかない。
自分のこと以外はひどく鈍感にできている。
先輩はいつも哀れなものを見る目つきで僕を見る。
僕はそれに耐えられず、皮肉を、愚痴を、嫌味を、とめどなく吐き、
それでもこうして欲しい、こうなりたいと言うのが怖く、ただ甘える。
俺のせいではない、俺は悪くない、と言葉にすることはできず、
そして全て俺のせいなのだとわかっていながら、
僕は考えてるふりをして何も考えていない。
なんて無駄な時間なんだと思ったことが、思い出せばそうでもない。
好きな人の過去を知りたくて、
藪から蛇をつつきだした失敗が、
僕を少し寡黙にした。
先輩が僕に与えた知識や価値観が、
先輩にとっての先輩だったことを知った時、
僕は激しく動揺したが、
先輩はきっと動揺させようとして
そんなことを言ったのだと思う。
私と、お前と、私たちの正義。