2024.1.25 (2:42)
この時車内でかけたジャズはビル・エヴァンスだった。
ナナさんから何の話を聞いたかは思い出せないが、それだけは憶えている。
さんざん僕を詩人だポエムだとからかう癖に
ナナさんの手紙もいつも湿ったポエムで。
手紙の宛先が田辺になってるから、
僕が21、ナナさんが23の時だろうと思う。
僕は一年中誰かを車に乗せ、タクシーの運転手みたいになっていた。
ナナさんとは趣味がよく合った。
趣味というより見えている世界がよく似ていた。
ナナさんの手紙にもそう書いてある。
時々は人の心に一歩踏み込む勇気が必要になる。
だけど踏み込んで白日の元に晒し、暴き、裸にすること、
それは俗悪だ。
そんなことで得意がっているうちは誰にも顧みられない。
誰だって自分の話をしたいのだ。
その話が始まるまでジャズでもかけて待っていればいい。