2025.1.18 (20:45)
96年はまだ朝までやっている喫茶店が駅前にも国道にもあった。
だから「そんな」気分の夜には、そこら中に逃げ込める場所があった。
僕は考え事をするのが好きで、
喫茶店で本を読むことはあんまりなかった。
ただずうっと考え事をしている。
いや、何も考えてなかったかもしれない。
ただ何かを思っている、
それだけだった。
黙っている先輩が何を考えているのか僕にはわからない。
先輩も僕の考えていることはわからない。
わかる必要は特になかった。
わかって欲しいことはもうわかっていたから。
でもタバコは必要だった。
この空間にはどうしても必要だったんだ。
そう思い出話を書いて気づいたが、
今は一つも実現できないことばかりだ。
午前2時、音楽も話し声も聞こえない古びた喫茶店で、
タバコを吸いながら二人して黙っている。
もう二度とそんな場面は僕の残りの人生に訪れない。