2025.1.15 (3:23)
「先輩と僕 in 1996」で描いたように、
僕がタバコを吸うようになったきっかけは明確に先輩だ。
高校の頃に好奇心で吸う真似事をしたことはあるが、
火のつけ方も吸い方も一人ではわからなかったので
あれは吸ったとは言えないだろう。
成人するまで喘息持ちだった僕はむしろ強力な嫌煙派だった。
なぜかヘビースモーカーになってから喘息の発作は起きなくなった。
先輩は全然ヘビースモーカーではない。
多分、周りが吸っているから、あるいは先輩の好きな先輩が吸ってたから、
そんな理由で格好をつけているだけだった気もする。
やがて飽きたのか、自分はさっさとやめた。
僕はそんなことには思い至らず、先輩のやることなすことを全て真似し、
それが僕の好意の証であると信じて全く疑わなかった。
いかにも気持ちが悪い。が、
それを気持ち悪いと思う人もいればそうでない人もいる。
そんな先輩を僕の下宿で撮ったスナップ写真が何枚か残っている。
写真はひどく不得手で、全部ボケている。
加工していない。暗い部屋だった。僕も暗い青年だった。
タバコとそのうなじが真っ白に光っている。
僕はみとれている。
写真などなくても、その景色は今も覚えている。