
同じことをその辺の人がやれば「薄情だな」と感じたのかもしれない。
特に優しさと下世話の違いがわからなくなっていた僕には、
一見心配そうな態度でその実冷たい人間よりも、ずっとありがたかった。

同じことをその辺の人がやれば「薄情だな」と感じたのかもしれない。
特に優しさと下世話の違いがわからなくなっていた僕には、
一見心配そうな態度でその実冷たい人間よりも、ずっとありがたかった。
部屋の外から聞こえる大きなくしゃみの音に、さみだれちゃんが足を止める。室内では、風邪を引いたのかハセガワが激しく咳き込んでいる。さみだれちゃんは助けるわけでも声をかけるわけでもなく、ただ無言でその様子をじっと見つめ続けている。ナレーションが、彼女の変わらない観察眼を淡々と説明している。