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「アトリエ。」

盆地である京都の暑さ寒さは厳しく、
築何十年だか誰もわからないこの建物は
あらゆる室内に隙間風が吹いており、とてもじゃないが
絵なんか描いてられる環境ではない。

アトリエは火気厳禁であることもそれに拍車をかける。
広大なアトリエにたった一つ、小さなストーブだけがあった。

真冬の制作は、日中だけにするか、
この小さなストーブでなんとかだましだまし暖を取るかの二択だ。

いきおい、ストーブの近くで話をする機会が増える。
いろりを囲んで昔話をするようなものだ。

自分たちで作った木の長椅子の端と端に座って、
背中合わせに話をしたりしなかったりする。

物音はしない。
時々ライターのカチッという音だけが背中越しに聞こえてくる。

僕はそんな時間が好きだった。
そんな時間を美しいと思った。

「回避スキル。」

好かれてるどころか
思ってたより嫌われていた、
という恥ずかしい勘違いも
そのうち笑って自分を許せる。

このダメージは時間が解決してくれない。
時間が経てば気にはしなくなるが永久に引きずる。
時間が長いとより強固に、巨大になる。

それを打ち消すことが可能なのは
「実際に好かれる」という上書きを
もってのみだと僕は思う。

そうしたことに時間を使える季節の間に
君は打ち消しの行動をとった方がよい。