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カフェで話す奥崎と男性の画像

ただ、あの最初の「知らないから」享受できる強力な幸福を、
永遠に繰り返したいのがファンタジーの世界であり、
妄想の世界だとすれば、

僕はそれでも気まずい沈黙を背負って、
退屈な日常を二人で退屈に生きていくことを選ぶ。

そうやって長い長い退屈の果てにようやく、
ああ、これでよかったのだ、
と思う瞬間がやってくる。

枝くんの芸術というタイトルの漫画。枝くんがタバコをくわえ、ハセガワが彼に話しかけている。枝くんの作品が宮沢賢治のパクリだと判明し、ハセガワが不快感を示す

枝くんは同じ芸術学専攻の同期である。
僕は1浪、彼は2浪だったが、
のちに4浪であることが発覚した。
発覚したところでどうということもなかった。

彼とは相当長い時間を一緒に過ごしたが、
芸術や美術に関心を見せたことが一度もない。
彼が感情を見せたのは、共に留年した5年生の時、
大三元字一色のダブル役満を上がった瞬間のみである。

ずっと美術部に在籍していたが、一枚も絵は描かなかった。
氷河期の就職活動中、実家近くの火山が噴火、大学を辞めて北海道へ帰郷した。
その後、彼に会いにいった後輩が、
「枝さんは聖書を売る人になっていました」
という情報を与えたきり、行方は杳としてしれない。

あれからとうに20年が経つ。
生死も不明であるが、仲間内で集まると必ず彼の話になる。
そのたびみんなで「あいつ探そうぜ」と盛り上がるが、
誰も探さない。

僕の数少ない同性の友人である。

夏祭りの思い出を描いた漫画の1ページ

僕はどちらかというと自分の気分を信用できないので、
必要以上に計算や打算の上、それらしく自然に見えるようにふるまいたい、
と考えている方です。

だから「天然」という人柄とは正反対の場所にいる、と
自分では思っていました。

でもある時奥崎に
「君は一人でくるくる4、5回転した意味不明な先読みを、
 予言のポエムみたいに言うから
 ものすごい天然に見える」
という評価をくだされ、ショックを受けた思い出があります。

僕はいつも素直がいい、素直が一番だと繰り返します。
それはネットでもリアルでも同じです。

素直になれなかった自分を
お腹いっぱい知っているからです。