だらだら読める一覧ページ

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「不可解。」

少女が自己否定する様子。
女性のキャラが語りかける場面。

僕がまず不可解だったのは村木のこういう言い回しで、
べたべたすることが「甘えている」だと映画や小説で理解していた僕は、
最初何を言っているのかよくわからなかった。

言葉にすれば簡単なことで、
面倒を避けるためだけに愛想をふりまいて生きている人間にとって、
一番の甘えはそれをしなくていい時だというだけだ。

僕はもともと愛想のない人間だったから、
普段から素でいればいいんじゃないのと軽く言ってしまったのだけれど、
それは彼女を大きく傷つける結果となった。

人間関係は、人間関係以外からは学べない。
これは僕の始まったばかりの大学生活の、その第一歩でもある。

「竜の末裔。」

エリンギに驚くドラゴンの漫画。
ゆるいキャラクターと食べ物の漫画。
鯨の形の何かが浮かぶ瞬間

最近「ワッサー」という見慣れない果物がよく売ってて、
桃とネクタリンのあいのこらしい。

ネクタリンがまず食べたことがないので、
ネクタリンを食べてみたい。

ワッサーは歯ごたえのある桃という感じでした。

「95年のある2日。」

映画館で居眠りする二人の会話
ホラー映画を観る二人の男性。
音楽と欲望についての漫画。
アトリエでの美術部の日常。

1995年、阪神・淡路大震災が起こり地下鉄サリンが起こり、
そこからもう何回か季節が変わってすっかり日常を取り戻した頃、

ある平日の2日間の日記を切り取ってみるとこうなる。
しかしわたくしはこうした毎日を、2年生から6年生まで
意志を持って続けておったわけで、涼宮ハルヒのエンドレスエイトの比ではない。

同じ大学、あるいは別の大学の他の大学生がどんな日常を送っていたのか、
わたくしは知らないし、当時は何の興味もなかった。

引きこもりといえば引きこもり、ニートといえばニートとも言える。
映画や本、クラシックのCD、絵の具やガソリン代には金を使ったが、それにしたって
目が飛び出るような額ではない。
村木とデートするにしたって、下宿にいるかガストにいくかくらいで、
特に経済的に贅沢な暮らしをしていたわけではないと思う。

スマホもないしネットもないしで、月にかかる固定費は少なかったはずだ。
おしゃれもまるで興味がなく、食べ歩きたい店も周辺にはなかった。
多分何度も食べた外食は、大学の生協の脇にあったレストラン横丁の
オロチョンラーメンだけだ。

わたくしは確かに情緒は不安定で、浮き沈みの激しい人間ではあったが、
黙っていればそんなことには誰も気づかない。
情緒不安を人に見せたいという素振りは、そう扱って欲しいというアピールだと
わたくしは思っている。
今はその素振りがいつでも手軽にできるようになったというだけだ。
特に弱い人間が増えたわけでもない。
元々弱くて何もしたくない人間が、簡単に弱さを見て慰めてもらえるようになっただけだと思っている。

わたくしが今大学生だったら、思う存分盛大にメンヘラアピールをして
かまってもらっていただろう。
絵と音楽と詩と芸術に熱中している、貧しくも高潔な未来ある若者として。
やってたか。当時もやってたな、そう思うと。計算してなかったとは言え。

以前、同級生とこうした話をしていた時に、
「お前が一番大学生らしい大学生活を満喫してた」
と言われたことをよく覚えていて。

当時だったら反発しただろうけど、今はそうだなあと思っている。
何もしていない暇つぶしの時間はほとんどなかった。ただ単位をとらなかっただけだ。
勉強しなかったこと、卒業できなかったことは後悔しているが、
一方で「好きなことしかしていない」という数年間は少しも後悔していない。

多分今、こうした回想がわたくしにとって一番必要なことなのだと思う。
なのでここ数ヶ月は観念して、この漫画のような生活をしている。
どんどん貯蓄が減っていってこれからどうなるんだという心配もあるが、
このわずかばかりの貯蓄は、この数ヶ月の危機のために3、40代のわたくしが
必死に稼いでおいた余力だったと考えることにしている。

少しづつ、元気になる。
描いている、あるいは書いていると水滴のように元気がたまっていく。
昔は先輩がアトリエにくれば1秒で回復したこの情緒が、
今は時間でしか解決できないことが口惜しい。