2023年10月90P
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「眠る前に。」
以前と比べて変わったことと言えば、
女の子を中性的に、「男から見た女らしさ」を感じさせないように
描いてきた強いこだわりが軟化したことかもしれない。
自立や独立の象徴であり、
超克するべき対象だった女性像…つまり
抑えがたい女性への憧れが
薄れたきたようにも思う。
「眠る前に。」
何を描きたいかと言えば、そりゃあ美しいものを描きたいのです。
醜いものは嫌いです。
見た目の話だけではない。
あらゆる醜さを僕の世界から永久に追放したい。
そのためにはあらゆる醜さについて
深く知る必要がある。
そうして外科手術のように注意深く醜いなにかを取り除く。
自分自身から。
また僕の近くの世界から。
それが僕にとって生きているということでもある。
「話すと何かが削れていく。」
もし自分の人生にヒロインなんて概念があるとすれば
高校時代はマキタ、大学時代は先輩ということになる。
僕にとっての主役と表現してもいい。
以前も思ったがこの二人だけ突出して描いた枚数が多い割に、
好きだという人は全然いなかったりする。
面白いね。
多分僕自身の強力なバイアスがかかりすぎて
超人のような描き方になってしまうから
見てる側とすると人間ぽく見えないのかもしれない。
「さみだれデイズ。」
「絵には論理も観念も言葉も目的も限界も計画性も大義名分もない」
いい言葉だねえ。横尾忠則が言ってたよ。
「アイコンの描き直し。」
うまくなろうとか絵柄を変えようとか普段全然思っていないのに、
長い目で見ると勝手に変わってゆく。
こうやって段々自分の絵になっていくんだろうな。
美術じゃなくてイラストでも。
「トオイヒビ:髪をほどく。」
「迷う」とか「諦める」みたいな単語は僕にとって重要なんだけど、
多分ねえ、幼いとか未成熟とかそういうのは嫌いなんだよ。
描いてるうちに気がついた。
自分では長い間こう、言葉は悪いがメンヘラっぽいものが好きなのかと
思ってましたが、それを越えたところにある諦観とか老成に
強い魅力を感じるのでやっぱり大人が好きだったんだな。