2016年12月33P
ページ内の表示数
「でも わたしは うたうのだ。」
11月に行われた「音描く展」に出品したアナログ作品です。
僕は28歳の時に結婚したのですが、その時に絵や音楽はすっぱりと諦め、画材なども全て処分しました。
ずっと夢ばかり追っていて、生活能力がゼロだったからです。
あれから10数年、やっとちゃんと絵を描きたいところまで戻ってきました。
その記念となるような、一枚になりました。
「仮託 。」
気持ちを芝居のセリフに仮託して。
スイッチを入れればどんな人間にでもころころと変わるマキタの、
その様子はまるで手品のようで、僕は結局
その手品のタネはわからなかったんだ。
「セキグチとヨシダ⑮ 。」
何が大きな原因でセキグチとヨシダが大喧嘩になったのか、
実を言うと僕にはよくわからなかった。
マンガ的には僕を取り合って三角関係、ならテンプレなのだろうけれど、
そんな事実はない。
ただの相性だったのかもしれない。
しかし僕は困り果てつつも、何だか気分が昂揚したことを覚えている。
シリーズにんげんのうた⑦ 「マキタ⑥。」
僕は本当に面白みのない男で、
もし今ユーモアのかけらでも僕自身から感じることがあるとすれば、
それは全て、マキタを笑わせてそれを独占したいという欲望に由来する。
シリーズにんげんのうた⑥ 「ヨシダ①。」
黙ってる方がいいか、正直に話した方がよいかの二択があった場合、
僕は迷わず黙っている方を選んだ。
それは今となって考えて見れば、ほとんどの場合、ろくな選択ではない。
「ランチタイム。」
何故俺の話を聞かない、俺の話を聞け、そんな風に威勢のいい僕だったが、
本心はと言えば、あ、あ、聞いてくれなくていいですから、一人で勝手に言いますから、
ええ、ええ、よろしくお願いします、そんな感じだった。
「甘えの構造主義。」
僕にはいつだって駆け引き出来るような余裕はない。
余裕がないから優しくもない。人の気持ちも考えられない。
それでも僕のこうした行動は、その先にお先真っ暗の暗闇しかなかったとしても、
正しかったと自信を持って言えるのだ。
「時限式 。」
40代の今、1年は以前にも増して速く感じられ、特に大した出来事もないまま、
粛々と黙々と過ぎてゆく。
17歳高校二年、その1年も、人から見れば大したことは起こらず、
大したことが起こらないことにわけもなくイライラとしていたが、
それでも何も知らなかった分だけ、何かあるような期待を持てたのだ。