「いつも後ろを歩く理由は。」

2024.4.7 (22:31)

「なんでいっつも後ろ歩くんや。」
と訊かれた時、僕は
「歩くの遅いし先頭は不安や。」
と答えた。

それも本音だ。
でも本音はもう一つある。

マキタを見ていたかったからだ。
もちろんそんなことは言えない。
言ってしまってもよかったけれど。

マキタは知っていた。
僕もマキタが知っていることを知っていた。

僕たちはその川辺を黙って歩いた。