「雨が甘く降っている。」 2024.3.26 (3:33) 下宿の窓を少し開けると、降り止まない雨の音が思いのほか大きく聞こえる。 先輩が「鬱陶しいなあ」とぼんやり独り言をいう。 「僕がですか?」と言ってみる。 先輩はそれを無視する。 僕の下宿で二人きりでいても、先輩は全く僕を警戒しない。 信用されていたから? 違うよ。 先輩の視界にさえ入っていなかったからだ。