2020.9.5 (9:30)
作られたお話とは違って、僕の記憶に正解はない。
結局この記憶が、単純に決別の表明だったのか、
あるいは僕に選択を迫る村木の最終通告だったのか、
僕にはどちらとも言えないし、どちらとも思える。
ただ、一つの事実として、
僕は言われるがままに自分の部屋を出て、
肌寒い深夜の駐車場でぼんやりタバコを吸っていた。
何か考えた気もするが、多分何も考えていなかった。
村木の言葉を、言葉通り受け取っただけだった。
いずれにせよ、それが最後のチャンスだったことには違いない。
なぜならこのすぐ後に最後が訪れたからだ。
最後のチャンスは、
いつだって最後だとわからない。