語り手は学生時代、正解や既知の知識に退屈し、未知の問いに惹かれていた。周囲からは浮き、発言と行動が伴わない自分に悩み、「詩人」と揶揄されるも道を見つけられずにいた。見透かされたいという甘えと自己嫌悪の日々を送った。しかし今、彼は過去の葛藤を語る。それは、書くことで死なずに済んだからだという。先輩の詩の言葉を借り、書くことは生きることや愛することを置き換えるものではないと悟ったことを述べている。




セリフ
1ページ目
- 勉強は嫌いだった。
- 正解は
いつも退屈だ。
- 既にわかっていることを
何故口に出さなければ
ならないのか。
- 正解の先には無限に
疑問が続いている。
- その疑問…つまり
「未知」だけが魅力的だった。
- 正確に言うと
答えを出すのが
いやだったんだと
思う。
2ページ目
- 「オレに訊けよ」
- しかし明らかに
周囲から浮いている
自分が不安でもあり
- いつもちちらちと
顔色を伺っている。
- 「どうやんのこれ
し・らん」
- 「言うことは
立派だが
実際やらせたら
なんも出来ん。」
- 「今描いて
るんで。」
- 「俺に向いてるもん
なんかあんのか?」
- 「詩人?」
- 高校生の考える
「自分の向き不向き」なんか大体言い訳。
3ページ目
- じゃあ 詩の雑誌に投稿するなり詩人の友達を作るなりしろ。〔絶対何もしない〕
- やってることは 女の子にくっついてそれっぽそうなこと語ってるだけ。
- 詩人に失礼すぎてすぐ言うのやめた。
- 「何言うてるかさっぱりわからん。」
- 翌日読み返して「こいつはバカか」と絶望する。
- 「見透かされたい」という強い甘えという単語がこの頃の日記にいっぱい出てくる。
4ページ目
- しかし わたくしは今 大喜びでそんな 話をする。
- だって 死んでないから。
- わかものたちよ わたしはつひに一度も死ななかった たぶん 死ぬかはりに 殺すかはりに 書いたからだ
- 死にたい と書くことで 死なないですむのなら 詩はクスリみたいな役に立つ けれど その調子で 生きるかはりに書いてはいけない 愛するかはりに書いてはいけない 吉原幸子「自戒」より抜粋
- 先輩がふと送ってきた詩を 今もよく思い出す。
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