「1999年のディストピア。」
90年代末、僕は20代前半、
自分のサイトの中で「パパ」などと呼ばれていて、
どこにも未来がない未成年に、
「逃げていいよ」ではなく、逃げてくればいい、と言って
下宿に呼んでいた。
それだけでもう今ならアウトだが、
しかし「逃げていいよ」なんて口当たりのいいことを言って、
近くの児童相談所に通報して手続きを踏んでどうのこうの、
みたいなことをやっていては彼女たちは死ぬしかない。
だから僕は、逃げたいならここに逃げてくればいいと
具体的な回答を与えた。
それは決して僕の正義ではない。
「死にたいではなく消えたいのだ」という
不可解な彼女たちに関心があっただけだ。
この話はいつか長編として描きたいと思っているのだけれど、
相変わらずオチも展開もない上、
恋愛も青春もない、中身もない。
だがその後の僕の考え方に大きな影響を与えたことは間違いない。