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「スタート地点。」

「感じの悪い子が実は優しくて明るい子だった」よりも
「明るくて優しげな子が実は湿った暗い子だった」の方が
僕には魅力的に映りましたけど。

前者は「不良がばあさん助けたらみんな大感動」的でいやだ。

「浅野弥衛のあるヌード。」

リンク:浅野弥衛「作品」

時々紹介していますが、故郷の作家です。
僕が大学の頃まで存命でした。

僕はずっと西洋美術にかぶれていて、
子供の頃はアングルやクールベの新古典主義や写実主義、
高校の頃になるとダリやタンギーのシュールレアリスムが好きになって、
大学に入るとパウル・クレーやカンディンスキーなどの抽象表現にハマりました。

なかでもクレーの線画が好きだったんですが、
やっぱり西洋的というかカラフル過ぎて、色はあんまり好きじゃなかった。

そんな時にノムラ先生に紹介されたのが浅野弥衛の大回顧展です。
96年に亡くなって、その年だったかな、津の三重県立美術館で開催された
この作品群を見て、ああこれが今自分が欲しかった世界なんだと思いました。

どうしてもわけのわからない絵を見ると、
これは何を表していて…と考えてしまいますが、
浅野弥衛の作品てほんとう、ただの線なんですよね。
すごく楽しそうに、あるいは真剣に描かれたモノクロームの線です。

ネットの画像で見ても少しも面白くない。
キャンバスを釘でひっかいてつけた傷のような線の、
その周りにわずかなヒビが入っている様子、
ただの線を見て、ただの線の表情を楽しむ絵です。

大学の頃、技法をまるっと真似してたくさん作品を作りました。
これもそうです。
熱くも冷たくもない、硬いけど柔らかい世界。
バッハとベルクの音楽世界を足したような、そんな世界が
今も僕のベースになっています。