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村木:SIDE B「⑬:不安。」

僕はメンヘラという言葉がどんな人物を指すのかわからないが、
不安定な情緒を何が何でも簡単にメンヘラと言ってしまうのは愚かなことだ。
僕たちはいつもさみしい。
さみしいから一緒にいられるのだ。
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僕はメンヘラという言葉がどんな人物を指すのかわからないが、
不安定な情緒を何が何でも簡単にメンヘラと言ってしまうのは愚かなことだ。
僕たちはいつもさみしい。
さみしいから一緒にいられるのだ。

僕は落ち着きがない。
何もしないでぼんやりしていることがことのほか苦手だ。
ちょっとでも時間が空くと、何かしていないと逆にストレスが溜まる。
こんな感じになった時、ちょっと起こしてしまえば済む話なのだけれど、
村木の寝顔を見ていると、とても起こす気にはなれなかった。
今思うと、こうやって少しづつ僕の時間は間延びし、
生き急いで発狂せずにすむ、貴重な休憩時間だったのかもしれない。

僕は特別暗い子が好きだったわけではなく、
特別明るい、クラスの人気者が好きだったわけでもない。
ただ、どうしようもなくガードの固い、卒のない人間が、
ふと自分の前でだけ漏らす本音のような愚痴のようなものに敏感に反応し、
例えそれがどんなにひどく歪んだ言葉であっても、
僕は彼女に惹きつけられるのだ。

僕と村木はバッハのフーガがとても好きだった。
時々上の2声を村木が、下の2声を僕が担当し、息のあったりあわなかったりする演奏をしながら、
ぽろっと僕を試すようなことを言う。
村木が何を考えていたのか僕にはわからないが、
結局は上手く行かなかった。
[su_label type=”important”]演奏[/su_label]98年頃に弾いた、バッハ/平均律クラヴィーア曲集 第2巻 第7番変ホ長調 BWV876のフーガ