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「なれあい。」

僕は自分ではポーカーフェースのつもりだったが、
そういうと先輩は「地上にお前より何でも顔に出る奴はいない。」と言った。
僕は僕で先輩のどんな言葉にも内心大喜びで、
いや、「内心」が出来ないからこそ顔も大喜びで、
いつも先輩を苛立たせた。
でもなれあいはしあわせだった。
ほんとうにしあわせだった。
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僕は自分ではポーカーフェースのつもりだったが、
そういうと先輩は「地上にお前より何でも顔に出る奴はいない。」と言った。
僕は僕で先輩のどんな言葉にも内心大喜びで、
いや、「内心」が出来ないからこそ顔も大喜びで、
いつも先輩を苛立たせた。
でもなれあいはしあわせだった。
ほんとうにしあわせだった。

憂鬱で不安な気持ちを、恋人や友達にこそ見せたくない、見せられないと思う僕と、
恋人や友達だからこそ見せられると考える彼女とはたびたび衝突し、
いや、衝突にさえなっていなかった。
僕の衝突や軋轢を避ける態度は最初は優しい人として受け取られるものの、すぐに見透かされ、彼女は泣いた。

オータニは思ったことを何でもそのまま言う。
いつも夢見がちで、ロマンだなんだとつまらない自分を何とか面白く見せようとする僕に対し、
身も蓋もない思ったままことを言い続けた。
卒業後何年かして一度だけ会ったことがある。
相変わらず悪意なくロマンなく身も蓋もなかった。
マキタの乳のことなんか考えたこともなかった。
きっと、だから僕とマキタは全然、全く、これっぽっちも上手くいかなかったんだと、
オータニは正しかったと、今にして見ればそう思う。

掘り返してももう何も出て来ない。
友達にももうなれない。
マキタはいつも本当のことばかり言ってるように見えた。
僕は何も言えなくてバカを気取ってみせ、
バカなのか?と言われた。
なんだよもう。