だらだら読める一覧ページ

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「絵。」

「絵。」

先輩はいつも貝の絵を描いていた。
だから僕は貝が好きだ。

だから貝を描いた。
先輩はそんなもんいらんと言った。

先輩の絵が欲しかった。
先輩は決して人間を描かなかった。

何故だったのだろう。
見たくないものまで見えてしまう先輩。
貝のように貝ばかり描く先輩。

「返事。」

「返事。」

僕が手紙を好きだった理由は、メールがここまで普及した理由と同じだ。

リアルタイムで好きだと言ったり嫌いだと言われることが
怖かっただけなのだ。

雨が降っていた。

マキタも僕も、何もしゃべらなかった。