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シリーズにんげんのうた⑭ 「先輩④。」
「僕はクズだ」
と言える人間はクズになんかなれない。
僕は自分はまったくクズでなく、
心の底から天才だと自分を思っていた。
というのは嘘で、
天才だ、天才なんだ、と暗示をかけること以外、
することがなかったんだ。
しなければならないことは山ほどあったのに、
することがない、とため息をつきながら、
うろうろと京都の街を歩き、
気に入らねば見も知らぬ他人に暴力をふるい、
狭い狭い世界の中から、その狭い世界を否定する、
バカなのか。
バカだったのだ。
さみだれちゃんとどうしようもない日々。9「らしさ。」
さみだれちゃんには色んな背景があって、
複雑な家庭環境だったりだとか、諸般の事情でああなっていたのだったが、
心が壊れているかというとそうではなく、
ものごとをじっとよく見ていた。
アウトプットが0の人間もいたっていい。
「私は知っている、という顔で僕を見る。」
だから嘘をつかないで。
最初から嘘をつかないで。
本当のことだけ言って。
本当のことって何?なんて考えないで、
本当のことだけ言って。
とマキタが僕を見る。
「風が吹くから。」
風が吹いて、君はちょっと意外そうな顔をした。
何が意外だったのだろう。
僕は何を言ったのだろう。