2024.1.12 (3:22)
引用:ロートレック「洗濯女」
「洗濯女」ってご存知ですか。
文字通りお金をもらって洗濯する女性、及びそういう職業を指します。
16世紀くらいから主にヨーロッパで存在した職業です。
今でいうクリーニング屋さんか、というとちょっと違います。
洗濯女はお金持ちの下で低賃金重労働をせざるを得ない、
身分の低い女性のことです。娼婦や踊り子も近い存在でした。
僕の大好きな画家ロートレックは代々続く貴族の出身です。
代々続いたが故に、血が濃くなってあのような姿になったとも言われています。
(教科書的には落馬事故で足の発達が止まったとなっていますが)
そのせいで父親に疎まれ、劣等感の塊となった青年ロートレックは、
好んでこうした身分の低い女性の世界に共感し、入り浸ることになります。
その気持ちはなんだかひどくわかります。
僕はもちろん貴族ではありませんが、
大学生の頃は貧しい労働者こそ尊いという考え方でした。
不自由なく育ったブルジョアのエリート青年が
頭の中だけで革命と理想に取り憑かれるのと同じです。
不自由のない人間には不自由がないなりの劣等感があるのです。
それらの暗い情熱はやがて現実の中で矯正され、
社会の中で変節していきます。僕もそう。
だから変節できずにそのまま破滅していった芸術家の
作品が好きなのです。