
「僕はクズだ」
と言える人間はクズになんかなれない。
僕は自分はまったくクズでなく、
心の底から天才だと自分を思っていた。
というのは嘘で、
天才だ、天才なんだ、と暗示をかけること以外、
することがなかったんだ。
しなければならないことは山ほどあったのに、
することがない、とため息をつきながら、
うろうろと京都の街を歩き、
気に入らねば見も知らぬ他人に暴力をふるい、
狭い狭い世界の中から、その狭い世界を否定する、
バカなのか。
バカだったのだ。

「僕はクズだ」
と言える人間はクズになんかなれない。
僕は自分はまったくクズでなく、
心の底から天才だと自分を思っていた。
というのは嘘で、
天才だ、天才なんだ、と暗示をかけること以外、
することがなかったんだ。
しなければならないことは山ほどあったのに、
することがない、とため息をつきながら、
うろうろと京都の街を歩き、
気に入らねば見も知らぬ他人に暴力をふるい、
狭い狭い世界の中から、その狭い世界を否定する、
バカなのか。
バカだったのだ。
24歳になったハセガワは、社会に馴染む周囲を冷笑し、自らを天才芸術家だと自負して虚勢を張っている。一方、オズ先輩は仕事の充実感を晴れやかな表情で語る。かつて慕っていた彼女の成功を素直に喜べず、ハセガワは身勝手な嫌悪感と孤独を募らせていく。若さゆえの自意識と焦燥、心の乖離が描かれている。