僕は「初恋」と「片思い」を恋愛経験にはカウントしていない。
あれは誰でも風邪みたいに罹って治るただの病気で、
語れるのは自分勝手な思い出であって相手との恋愛ではない。
語るのは楽しいが人に聞かせて楽しい話でもない。
漫画で描くのは楽しいが、同級生に語ったことはほとんどない。
そういう意味ではよく「3人目」の話をする。
大体3人目くらいで恋愛観、死生観、自分論がまとまってくるので、
その話を聞くと大体人となりがわかると勝手に思っている。
僕の漫画で言えば、
マキタは初恋であって恋愛ではない。
初めてつきあったのはヨシダで、結果つきあうって面倒だなと思った。
村木は初めて感覚が近い人間と仲良くなった話だけれど、
やっぱり長くは続かなかった。
先輩は恋愛ではなかった。バッハや夏目漱石と同じ、尊敬の対象だった。
そうなると3人目は奥崎ということになる。
奥崎とは長く続いて、結婚したいという話にまで発展した。
でもその頃25歳の僕は無職であり、無職の人間が結婚していい年齢ではなくなっていた。
もちろんこれは僕の勝手な考え方で、
一人目で理想の相手に出会って結婚した人もいれば、
二人目が現れずにそのままの人もいる。否定しているわけじゃない。
なんとなく3人目辺りの人の話を聞きたいだけ。
男性が恋人ができた際の感情を語っている。彼は一緒に買い物や旅行、映画をする想像をしても、実際にはあまり楽しくないと感じている。そして最終的にはお互いに嫌いになっていくだけだと考えている。隣の女性はその話題に興味を持ち「なんの話?」と尋ねるが、男性は恋愛感情が大したことではなく、単に好きでなかっただけだと答える。二人のやり取りが切なくもリアルな恋愛観を描いている。
