養老孟司先生は「都市は意味のあるもの以外ない」
というようなことをいつも述べている。
人間を中心にした、全てに意味をでっちあげた世界なのだ。
緑があるとか空気がきれいとか、そういう話ではなく、
僕たちはその意味に対して疲れ果てる。
余呉湖も有名な桜の観光地ではあり、
それなりに人もいるわけだが、
晩秋の辺りからはまるで人影がなくなった。
長く続く沈黙の間、
僕たちは自分たちから意味を排斥する。
こんな楽しい時間はないだろう。
滋賀県余呉湖の自然の中、奥崎ともう一人の人物が静かに座っている。奥崎が「言いたいこと言えば?」と促すが、相手は「いい。忘れた」と答え、二人は沈黙の時間を過ごす。都会の喧騒とは違い、ここでは意味を手放して自分を取り戻すという静かな心の交流が描かれている。
