ハセガワは二十年前に、空気が読めない行動を繰り返す妹の元夫に対して激怒し、家族総出で家から叩き出した。後日、元夫の母親から息子の面倒を見てほしいと電話を受けたハセガワは、その無責任で身勝手な態度を醜いと感じた。 ハセガワは自身の中に生じる反射的な差別感情を嫌悪し、相手を論理的に咀嚼して理解しようと懸命に知識を調べた。知識が深まるにつれて相手のせいではないと考えるようになったが、関わりを避けたい思いは以前よりも強くなった。元夫の遺伝子を色濃く受け継いだ姪は思春期を経て世界に順応し、特にトラブルもなく大学受験を目指している。社会に適応した姪の姿を前に、ハセガワたちは元夫に対してすでに手遅れであり、何もできなかった。



