学生時代、ハセガワは信楽焼の陶器でできた時計に目を留め、ピアノを貸しているお礼として村木に購入してもらう。村木は年上のハセガワに対等に接しながら、時計と一緒に自分自身のことも大事にするようにと笑顔で約束を交わす。それから30年が経ち、白から黄色く変色した時計を泡ハイターで漂白したハセガワは、誤って時計を故障させてしまう。 ハセガワは通販で交換用の時計部品を取り寄せ、ドライバーを手にして自力で部品を付け替えようと試みる。ところが、ハセガワが手を加える前に、時計は何もしていないのに突然自力でカチカチと針を動かし始める。ハセガワは30年間時計を大切にし続けたが、かつて村木と交わした約束の中で守られたのは時計の方だけだった。



