ハセガワは家内ちゃんを病院に行かせた後、久しぶりに訪れた大きな気分の波を鎮めるため薬を飲んで耐える。何か一つの物事に夢中になるたびに周りが見えなくなり、親しかった人たちまで離れていった過去を振り返る。高校時代、美術部員のムロイから期待が重くて同じようには活動できないと泣きつかれた場面を思い出す。 人を気遣う言葉よりも、自分の邪魔をするなと率直に言い放ったマキタの態度のほうが心地よかったと回想する。目の前でご飯を食べる家内ちゃんの姿を見つめながら、ハセガワは過去の物思いから我に返る。十四歳の正月に書いた日記を思い起こし、中学時代から現在に至るまで自分の根底は何も変わっていないと痛感する。



