思春期までで摂取したもので
嗜好はほぼ決まる。
僕はたまたま子供向けのものよりも、
暗く澱んだ雰囲気が好きだっただけだ。
とは言え、当然それだと周りと話が合わない。
合わないどころか大体は村八分だ。
中二病にかからなかったのは、
多分がんばって「自分は他の人間とは違う」と誇示しなくても
最初っから浮いていたからだと思う。
理解されたいという強い思いもなく、
そうした我関せずの態度はきっと周りのクラスメイトからは
高慢で鬱陶しい嫌なやつに見えていただろう。
同じような嗜好を持つ人間には、
大学へ行くまで出会えなかった。
(大学へ行ったらごろごろいた)。
そういう意味では大学は楽しいというより楽だった。
説明しなくてもわかるのは楽でいい。
セリフ
1ページ目
- 笑った顔を描きたくない。
- それは子供の頃からだ。
2ページ目
- 暇さえあれば美術全集を眺めていた。
- 昔の絵や写真は誰も笑ってない。
- 絵描きの主な仕事が貴族の肖像を描くことだった頃
- 大きな感情表現は下品であり狂気であるとされていたからね。
- 効果音キャハハハハ
- 「はしたない!!」
- やがて貴族の時代が終わると芸術家のテーマは人間自身に移った。
- 人生とは恋愛とは貧困とは絶望とは自我とは
- 表現したい内容はどんどん複雑化・深刻化した。
3ページ目
- 「「笑ってる」としか解釈しようがない」
- 笑顔は単純で記号的だ。
- だから芸術家はみな意味深な無表情、あるいは暗い顔を描いた。
- それを記号の集積であるマンガ(エンタメ)に持ち込むのは失格だよね。
- でも子供の頃にしみついたものをなかなか捨てられないでいる。
主人公は子供の頃から笑顔を描くのが苦手で、昔の絵や写真には誰も笑っていないことに影響を受けていた。感情表現が狂気とされていた時代、貴族の肖像画が主な仕事であったが、やがて芸術のテーマは人間へと移行する。笑顔は単純な記号であり、深く解釈することができない。主人公はその子供時代の影響を引きずり、漫画というエンタメにその複雑さを持ち込むことが失格だと感じながらも、手放せずにいる。


