今からものすごく真面目にピアノを弾くから
君もものすごく退屈な顔で聴いてくれ
と僕は言った。
マキタは大抵何をしていても退屈な顔をしている。
僕はそれを誰よりもよく知っている。
本当は退屈な顔をしないでくれと言いたいのだ。
でも言ってしまうのだ。
不条理?違うなあ。
これが僕にとって人間であることの証なのだ。
そんな日記を書いて、
自分でも全く意味がわからず、
マキタはやっぱり退屈な顔をした。
マキタがピアノのそばに座り、何かを考えて退屈そうな表情をしている。彼女の後ろではハセガワがピアノを弾いていて、真剣に演奏に取り組んでいる。マキタは普段から退屈そうな顔をしているため、ハセガワはそれに気づきつつも、その表情こそが人間らしさだと感じている。二人の微妙な感情の交流が静かな音楽室で描かれている。
