僕は出し惜しみなく、とにかくいいところを見せようと、
絵を描いたりピアノを弾いたり付け焼き刃の学識を披露したり、
全然効果のない間違った方向へ力いっぱい暴走していた。
言葉では何ひとつはっきりしたことを言わなかった。
大分後になって熱情を弾いた時の録音のかけらが残っている。
暴走しててへったくそだ。
セリフ
- 「ハセガワよ、頼みがある。」
- 「今度の舞台でピアノの場面があるんだ。弾き方教えてくれ。」
- 「もう一人誰か呼べよ。確認しながらやった方がいいだろ。」
- 効果音んー
- 「ちょっとかわれ。」
- 僕はオータニがマキタを呼ぶことを予想して、マキタにいいところを見せようと思った。
- 「呼んだ。」
- 「うぉおお」
- 「私なんで呼ばれたの。」
- 「私も一体何をしてるんだ。」
- 「かえるぞ」
- 渾身すぎた。
- 「ようし見てろマキタ。」
- 「俺の渾身の「熱情」を!」
オータニから舞台のためにピアノを教えるよう頼まれたハセガワは、マキタに格好良いところを見せようと画策する。しかし、実際にマキタの前で披露した演奏は、気合が入りすぎて激しく支離滅裂なものだった。困惑するマキタと、呼んだことを後悔するオータニ。ハセガワの空回りした熱情が、ビターな結末を招く。
