「僕は忘れない。」

2020.9.5

作られたお話とは違って、僕の記憶に正解はない。
結局この記憶が、単純に決別の表明だったのか、
あるいは僕に選択を迫る村木の最終通告だったのか、
僕にはどちらとも言えないし、どちらとも思える。

ただ、一つの事実として、
僕は言われるがままに自分の部屋を出て、
肌寒い深夜の駐車場でぼんやりタバコを吸っていた。

何か考えた気もするが、多分何も考えていなかった。
村木の言葉を、言葉通り受け取っただけだった。

いずれにせよ、それが最後のチャンスだったことには違いない。
なぜならこのすぐ後に最後が訪れたからだ。

最後のチャンスは、
いつだって最後だとわからない。