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1:2020.9.20 (23:03)

トオイヒビ「ラスボスの木。」

僕たちの高校の、一番人通りのない裏側に、
奇怪な形の巨大な木がありました。

僕はそれを「ラスボスの木」と呼んで、
人に見られたくない時の
待ち合せ場所によく使っていました。

授業中、小さな付箋に「ラスボス」と書いて
お互いの教科書に貼りつけたりね。

夕暮れ。
誰もいない校舎裏のラスボスの木の前で
一人ぼんやり立っているマキタは

勇者のようでもあり、

迷子のようでもありました。

2:2020.11.6 (1:01)

「フラッシュ。」

好きな人の絵を描きたい、という人と
絶対描きたくない、という人と、
わかれる。

僕は前者で、
先輩は後者だった。

しかし、
なぜ描きたいの?
と訊かれた時に、
言葉が見つからなかったことを
よく覚えている。

何故僕は好きな人を描きたかったのか。

きっと、好きだと言えないから
描くんだろうと思う。

同じ理由で、
好きだとちゃんと言いたいから
先輩は、先輩の好きな人を描かなかったんだろうと思う。

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