2024.3.16
「灰色自画像。」
美術に自画像は避けて通れない画題ですが、どうですか、嫌いでした?
僕は好きでしたよ。人の顔だとどうしてもちょっときれいに描こうとするんで。
滅茶苦茶描いても文句言われないから楽しかった。
美術部の後輩「さみだれちゃん」は一言もしゃべらない女の子。
「僕」はそれでもさみだれちゃんと一緒にいる。
→本編
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美術に自画像は避けて通れない画題ですが、どうですか、嫌いでした?
僕は好きでしたよ。人の顔だとどうしてもちょっときれいに描こうとするんで。
滅茶苦茶描いても文句言われないから楽しかった。
ちゃんと笑った顔を描くのは本当に難しい。「仕事だから笑顔でいる」の笑顔はどこかしら歪んでいる。
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「さみだれちゃんとどうしようもない日々。」
とるに足らぬ中年がどんな言葉でどんな未来を君たちに語っても、それは説教か懐古趣味にしかならない。
が、「死にたくはないが消えたい」という君たちの絶望を聞く、読むたびに何を語ってあげられるのか悩む。
僕は僕の話をただ繰り返し語ることしか出来ない。