2024.4.1
「同人誌の思い出(1991)。」
とにかく周りの人間がしゃべっている内容が一つもわからず置いてけぼりの上、色紙代返せとか言われていい思い出が一つもない。
マエダのサークル本は一冊も売れなかった。
向かいの人も一冊も売れなかった。
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とにかく周りの人間がしゃべっている内容が一つもわからず置いてけぼりの上、色紙代返せとか言われていい思い出が一つもない。
マエダのサークル本は一冊も売れなかった。
向かいの人も一冊も売れなかった。
なぜって、黙ってニコニコしてても「いい人」にすらなれず、「そんな奴いた?」扱いになる自分の未来が十分すぎるほどわかっていたからだ。
何かしてないと不安だ。
誰にも理解されなくても。
話題の中心でいたい、
もっと自分の話を聞いて欲しい。
でもいざ二人で話せばイライラさせることしか言えない。
もっと笑え、笑ってさわやかに三人でしゃべれ。
そんなことを心の中で思いながら、
僕は黙って後ろをついてゆく。
二人はどんどん前を歩く。
僕は影から抜け出せない。