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1:2017.2.21 (1:24)

シリーズにんげんのうた⑬ 「オータニ①。」

シリーズにんげんのうた⑬ 「オータニ①。」

オータニは思ったことを何でもそのまま言う。
いつも夢見がちで、ロマンだなんだとつまらない自分を何とか面白く見せようとする僕に対し、
身も蓋もない思ったままことを言い続けた。

卒業後何年かして一度だけ会ったことがある。
相変わらず悪意なくロマンなく身も蓋もなかった。

マキタの乳のことなんか考えたこともなかった。
きっと、だから僕とマキタは全然、全く、これっぽっちも上手くいかなかったんだと、
オータニは正しかったと、今にして見ればそう思う。

→シリーズにんげんのうた

2:2017.4.4 (23:37)

シリーズにんげんのうた⑭ 「先輩④。」

シリーズにんげんのうた⑭ 「先輩④。」

「僕はクズだ」

と言える人間はクズになんかなれない。
僕は自分はまったくクズでなく、
心の底から天才だと自分を思っていた。

というのは嘘で、
天才だ、天才なんだ、と暗示をかけること以外、
することがなかったんだ。

しなければならないことは山ほどあったのに、
することがない、とため息をつきながら、
うろうろと京都の街を歩き、
気に入らねば見も知らぬ他人に暴力をふるい、
狭い狭い世界の中から、その狭い世界を否定する、

バカなのか。

バカだったのだ。

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