2024.4.1
同級生他32P
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「予備校のオガワくん。」
90年代前半の受験戦争は様々な狂人を僕の周囲で産み出したが、
その反省をもってなお、
いまだに偏差値がどうのと言っている世間を見ると
失われた30年という言葉を痛烈に感じるのである。
オガワくんは名古屋の大学に進んだあと
更に現実と中華料理が混濁し、
数ヶ月の入院生活を経て
晴れやかに元のオガワくんへ戻ったり戻らなかったりした。
「にんげんのうた。」
かつての僕の深刻さは
深刻だと周りに認められないと自分を保てない
そういう深刻さだった。
深刻なもの同士で群れても
ただ結論が先延ばしになって長く苦しむだけで
俺はもう苦しむのはごめんだ、と
気付いた時には20代も半ばになっていた。