2:2020.9.27

「僕が信じたものは。」

「ぐだぐだ考えてないでさあ、サクサクおもろいことだけやろうよ」

という強烈な空気の中で、僕はずっと納得がいかなかった。
僕だけは特別な人間だと思っていた。
お前たちと一緒にするな、と思っていた。

いや、思いたかったがそれも出来なかった。
どんな単細胞だよ、と自分を鼻で嗤った。
心の中では、もっと適当に楽しく人に合わせよう合わせようと思っていた。
思っていただけで、何もしなかった。

結局何も出来ないまま、何もしないまま忘れていく。
忘れることが正しいのだと自分に言い聞かせてゆく。

記憶に強烈に刻印されるのは、
僕でない、僕の近くの人が言った言葉だけ。

3:2020.10.16

「廊下。」

マキタは誠実だったと思う。
僕が同じ立場だったら、黙ってただ僕を無視しただろう。
なかったことにして。あるいは、
なかったことになるように。

そんな記憶が僕を誠実に縛り、
やがて自分がそんな立場になった時、
ちゃんと思ったことを相手に告げた。